「それでも皆様、失礼いたします」
僕たちにいろんな事を教えてくれた店員さんは、そう言って僕たちから離れて別のお客さんのとこに行っちゃったんだ。
だから僕たちはまたお店の中を見て回り始めたんだけど、後ろの方からとてとてって誰かが走ってくる音がしたもんだから、僕たちはそっちの方を見たんだよ。
そしたらそれはキャリーナ姉ちゃんだったんだ。
「ルディーン、こっち! こっち来て!」
「どうしたの?キャリーナ姉ちゃん」
なんか解んないけど、キャリーナ姉ちゃんは僕の手を引っ張ってどっかに連れてこうとするんだよね。
だから僕、どうしたの? って聞いたんだよ。
そしたらさ、あっちにすごいのがあるのって教えてくれたんだ。
「ルディーン、魔法でアクセサリーを作れるでしょ? だからあれも作れるんじゃないかなってレーア姉ちゃんが言ったから呼びに来たんだよ」
「ええっ!? ルディーン君、アクセサリーも作れるの?」
キャリーナ姉ちゃんはね、僕が魔法でアクセサリーを作れるからそのすごいのを作れないかなぁって呼びに来たんだって。
だから僕の手を引っ張ってそこに連れてこうとしたんだけど、そしたらそんな僕たちを見てたニコラさんが、アクセサリーを作れるの? ってびっくりしたんだ。
「うん。ルディーンはね、おうちでいろんなのを作ってくれるんだよ」
「へぇ、そんな小さな手なのに、器用なのね」
キャリーナ姉ちゃんのお話を聞いて、ニコラさんはすごいねって。
でもね、ちょっと違うんだよなぁ。
「ニコラさん。僕、カンカンしてアクセサリーを作ってるんじゃないよ」
「かんかん? ああ、彫って作っているわけじゃないって事ね。でも、それならどうやって作ってるの?」
「魔法だよ。クリエイト魔法ってので、いろんなもんを作ってるんだ」
これを聞いたニコラさんは、そんな魔法があるのねってちょっとびっくり。
でね、その魔法はどんなの? って聞いてきたんだけど、
「ルディーン。こっち来てって言ってるでしょ!」
キャリーナ姉ちゃんが怒っちゃったもんだから、僕はお姉ちゃんに引っ張られて連れてかれちゃったんだ。
「ほら、これ。すっごくきれいでしょ?」
「ほんとだ! すっごききれいなちょうちょだね」
キャリーナ姉ちゃんに連れてかれたとこにはね、蝶の形をしたおっきなアクセサリーがあったんだよ。
でね、そこにはレーア姉ちゃんもいて、僕にこう聞いてきたんだ。
「ルディーンは金属なら魔法で思った形にできるのようね? ならこう言うのも作れないかな?」
「これを作るの?」
レーア姉ちゃんに言われて、僕はもういっぺん蝶のアクセサリーをじっと見たんだ。
そのアクセサリーはね、きれいな模様がびっしり彫ってあって、その上4つに分かれた羽根がまぁるく膨らんでる立体的な形をしてたんだよ。
それにね、羽と胴体、それにくるくるって巻いてる触角なんかを違う素材で作ってあるから、全部金属なのにいろんな色があってとってもきれいなんだ。
だから僕、これを見て作るのは無理なんじゃないかなぁって思ったんだ。
「う〜ん、多分作れないと思うよ」
「えー、なんで?」
僕はね、レーア姉ちゃんにこれは作れないよって教えてあげたんだよ。
でもそしたらキャリーナ姉ちゃんが、何で? って聞いてきたんだ。
「ルディーンはいっつも魔法でいろんなの、作ってるじゃない。なんでこれは作れないの?」
「だって僕、絵を描くのはへたっぴだもん」
クリエイト魔法って、頭の中でこういうのを作りたいって思いながら使うでしょ?
だから輪っかがいっぱいくっついてるのとか、ハートやお星さまの形をしたのとかは簡単に作れるんだよね。
それに僕が知らないちょっと変わった形の物だって、お手本があれば何とか作る事はできるんだよ。
でもこれは形じゃなくって、蝶々の絵だもん。
絵はお手本を見ながらでも、おんなじのは描けないよね?
それとおんなじで、こんな風に絵が彫ってあるやつはそれとおんなじのが描けるくらい絵がうまい人じゃないと、クリエイト魔法を使っても作る事ができないんだ。
「僕、絵なんか描いた事無いからこんなの作れないんだ」
「そっか。じゃあしょうがないね」
だからその事を教えてあげると、キャリーナ姉ちゃんはそっかって納得してくれたみたい。
でもね、そのお話を聞いてたアマリアさんが、僕にこんな事を聞いてきたんだよね。
「じゃあさ、どんなのなら作れるの?」
「そうだなぁ」
僕はね。きょろきょろって周りを見渡したんだよ。
そしたらハートの形が二個つながってるのとか、ちっちゃな剣の形をしたのとかが置いてあるとこがあったもんだから、僕はそこにトコトコって走ってって指さしたんだ。
「こんなのだったら作れるよ」
「そうね。私も家でルディーンにこんな形のペンダントトップを作ってもらった事あるもの」
そしたらね、レーア姉ちゃんがその中からお星さまとハートがくっついてるアクセサリーを指さしてこう言ったんだ。
「へぇ、こんなの作ってもらったんだ。いいなぁ」
それを聞いたアマリアさんが、いいなぁってレーア姉ちゃんに言ったんだよ。
そしたらさ、ちょっと離れたとこにいたディック兄ちゃんが寄ってきて、僕に作ってあげなよって言い出したんだ。
「ルディーン。アマリアさんが欲しいって言ってるんだから、作ってあげろよ」
「いや、そんなつもりで言った訳じゃなくて……ごめんねルディーン君」
でもね、それを聞いたアマリアさんが造って欲しくて行った話絵じゃないんだよって僕にごめんなさんしてきたんだ。
そしたらさ、そんなアマリアさんを見てディック兄ちゃんが大慌て。
「俺が言い出した事なんだから、アマリアさんが謝らなくてもいいよ。それにルディーンは、家でいつもこんなものを作ってるから、それほど大変じゃないんだ。そうだろ、ルディーン?」
「うん。これだったら簡単に作れるよ」
さっきの蝶々みたいなのは無理だけど、こういうのだったらお母さんやお姉ちゃんたちだけじゃなくってスティナちゃんにも作ってあげてるもん。
だから簡単だよってアマリアさんに教えてあげたんだ。
「そうなの?」
「ああ。それに魔石に色を付けて、それをこういうのに付けたりもしてたよな?」
ディック兄ちゃんが言ってるのはね、属性魔石の事なんだよ。
例えばさ、無属性の魔石を火の魔石に属性変換すると中の魔力がオレンジっぽい赤に変わるんだよね。
それに魔石はみんな中から魔力の光が出てるから、キラキラして宝石みたいだもん。
だからそれをペンダントにつけてあげたら、お母さんはすっごく喜んでくれたんだよ。
「うん。火の魔石とか風の魔石は赤かったり緑色だったりして、とってもきれいなんだ。宝石なんかは高くって買えないけど、これだったら森に行って魔石を取ってくればすぐ作れちゃうでしょ? だからお母さんのには付けてあげたりしてるんだ」
「属性魔石を宝石代わりに!?」
これを聞いたアマリアさんは、とってもびっくりしたんだよ。
何でかって言うとね、魔石は冒険者ギルドに持ってくと高く買ってくれるから、それをアクセサリーにするなんて考えられないからなんだって。
「すごく贅沢なアクセサリーね」
「そっかなぁ? 森に行けばいっぱいとれるし、僕、今もいっぱい持ってるよ」
僕、作りたくなった時にないと困っちゃうから、いつも魔石が入った袋をポシェットに入れてるでしょ?
だから贅沢って言われても、そうかなぁ? って思っちゃったんだ。
でね、それはどうやらディック兄ちゃんもおんなじだったみたい。
「ルディーン、アマリアさんに似合いそうなアクセサリーを作ってやれよ。魔石は俺が用意するから」
「えー、悪いですよ」
魔石を取ってくるから、アマリアさんのアクセサリーを作ってあげてよってディック兄ちゃんが言ったんだよ。
そしたらさ、それを聞いたアマリアさんはそんな事しなくってもいいよって。
でもね、さっきレーア姉ちゃんがお家でアクセサリーを作ってもらってるって聞いて、いいなぁって言ってたでしょ?
だから僕、欲しいなら欲しいって言えばいいのにって思ったんだ。
「大丈夫だよ。魔法で作るからあっという間にできちゃうもん。それに、ディック兄ちゃん。用意するって事は森に取りに行くんだよね?」
「ああ、そうだよ」
「だったら僕も一緒に行けるでしょ? 僕、森に行きたいって思ってたから、ニコラさんたちの分も取ってきて、みんなのを作ってあげるね」
せっかくディック兄ちゃんが森に行くって言ってるのに、アマリアさんにアクセサリーを作ってあげるって言うお話が無しになったらいけなくなっちゃうでしょ?
だから僕、アマリアさんにみんなの分も一緒に作るから大丈夫だよって言ったんだ。
読んで頂いてありがとうございます。
前回は突然休載してしまってすみません。
コロナ禍になる前は多少忙しくても書く余裕があったのですが、3年ほど続いた間に比較的暇な状況が続いたため、少し忙しくなると疲れやすくなっているようでして。
そんな中で先週は少々忙しかったため、いつもは何日かで書いていたプロットや下書きを書く事ができず落としてしまいました。
その内今の状況にも慣れてくるでしょうから、なるべくこのような事は無いようにしたいと思っております。
まぁ、絶対とは言えないところが少々悲しいですが。